さくらのVPSの新プランのUnixBench を実施して計測してみました。ついでに、旧プランとお名前.com VPS(KVM)の値も比較してみました。 にて記載していますので、そちらを参照してください。
以前に、評判のKDDI クラウドコア(CloudCore) VPS とさくらのVPSをサーバー性能を比較してみた でCPUの速度、ディスクの速度などを計測してみました。
そこでは、姫野ベンチマークやbonnie++を採用して比較してみたわけですが、今回は、メジャーなところでUnixBenchを使ってみます。
あまりにもメジャーで、いろんなサイトで、UnixBenchの実施結果は紹介されているので、あえてこのサイトでは避けていました。
ただ、ここにきて格安VPSがいろんな会社から出てきて、いったいどのVPSがより性能が良いのか・・・という疑問が湧いてくるわけです。
そこで、とりあえずメジャーなUnixBenchを使っていると何かと便利で、比較しやすいわけです。
一人で、採取できるベンチマークも限られてきますし、いろんな方々が、UnixBench を実施した結果をサイトに公開されてますから、比較しやすいわけです。
もちろん、ここで公開しているUnixBench の結果も、遅ればせながら誰かの役に立っつのかもしれません。
そこで、大変、遅ればせながら、さくらのVPSからUnixBenchを実施してみようということです。
- 目次
- 履歴
2012年2月28日 初版
そもそもUnixBenchとは
Linuxパソコンの処理性能を測定するためのソフトウエアのことで、 CPUの演算性能、アプリケーション実行時の処理性能、2次元や3次元のグラフィックス処理性能を測定できるものです。 さらに、マルチコアプロセッサにも対応しているため、コア数の違いによるパフォーマンスを評価することもできます。
UnixBench が出力する数値は、処理時間とIndex値です。
処理時間は、文字通り各処理性能を測定する項目毎に実際にかかった処理時間が出力されます。
Index値は、「George」と呼ばれるUNIXシステム「SPARCstation 20-61」の処理性能を10としたときの倍率を表した数値が出力されます。 ( つまり、ざっくりと言うと SPARCstation 20-61 の何倍早いか?という感じでしょうか。)
現在のマシン性能は、かなり良くなっているので、100倍,1000倍という数値が普通に出ます。
主にUnixBench の値として用いられるのは、このIndex値の総合評価値である System Benchmarks Index Scoreの値が用いられています。
UnixBenchを使うことで何がわかるかというと、
古いUnixシステムであるSPARCstation 20-61を10としたときの計測したサーバーの処理速度(性能)を倍率で確認することができるわけですから、
つまり、UnixBenchで出力される処理速度(性能)値(index)は、みんなで共有し同じ値(Index値)でそのまま比較することができるわけです。
もっと簡単にいうと、サーバーの性能を相対的に比較できることになります。
もちろん、そのときの使用したOSやスペック情報は、非常に大事です。
同じOS、同じインストール済アプリケーションであれば単純にハードスペックの比較ということになるでしょうし、同じハードスペックでOSが異なれば、OS間の比較として用いることもできます。
さくらのVPSでUnixBenchの実施するには
さくらのVPSでUnixBenchの実施するまでの簡単な過程を解説しておきます。( ただmakeして、Runを実行するだけです。)
- UnixBenchの最新ファイルをダウンロードする。
$ wget http://byte-unixbench.googlecode.com/files/UnixBench5.1.3.tgz ...
現在の最新バージョンが、5.1.3だったので、そのバージョンをダウンロードしてみました。
最新バージョンは、 http://code.google.com/p/byte-unixbench/downloads/listで確認しましょう。適当なディレクトリで解凍しておきます。
$ tar xfz UnixBench5.1.3.tgz ...
- GUI系の計測は不要なのでMakeFileを編集する。
計測が不要なものは、コメントアウトしておきます。
ここではGUI関係は不要なので、GRAPHIC_TESTS , GL_LIBS をそれぞれコメントアウトしておきます。
./UnixBench/Makefile を編集します。
... SHELL = /bin/sh # GRAPHICS TESTS: Uncomment the definition of "GRAPHIC_TESTS" to enable # the building of the graphics benchmarks. This will require the # X11 libraries on your system. # # Comment the line out to disable these tests. # 以下の行をコメントアウトします。 # GRAPHIC_TESTS = defined # Set "GL_LIBS" to the libraries needed to link a GL program. # 以下の行をコメントアウトします。 # GL_LIBS = -lGL -lXext -lX11 ...
- UnixBenchをコンパイルする。
UnixBenchをコンパイルするには、makeおよびgcc、perlが必要になります。
加えて CentOS/ScientificLinux の場合、perl のTime/HiResもインストールする必要があります。
前準備として以下のツールをインストールします。CentOS/ScientificLinux の場合
$ yum -y install make gcc perl perl-Time-HiRes ...
Debian/Ubuntu の場合
$ apt-get -y install make gcc perl ...
準備を終えたら、続けてmakeを実行します。
実行するディレクトリは、先にUnixBenchを解凍したディレクトリで実行します。[UnixBench]$ make ...
ここでエラーがでない場合は、すぐにでも計測できます。
以下のようにRunで実行です。
[UnixBench]$ ./Run make all make[1]: Entering directory `/root/UnixBench' Checking distribution of files ./pgms exists ./src exists ./testdir exists ./tmp exists ./results exists make[1]: Leaving directory `/root/UnixBench' # # # # # # # ##### ###### # # #### # # # # ## # # # # # # # ## # # # # # # # # # # # ## ##### ##### # # # # ###### # # # # # # ## # # # # # # # # # # # # ## # # # # # # # ## # # # # #### # # # # # ##### ###### # # #### # # Version 5.1.3 Based on the Byte Magazine Unix Benchmark ... # ↑このように UNIX BENCH の文字絵が出力されればOKです。Ctrl+C で中断できます。
Runは、概ね 1CPUあたり20分ぐらいでしょうか。単純に仮想CPU2あるので、倍の40分程度は掛かるものと思います。 また、負荷もかかるので、基本的には、実際に運用中のサーバーでの実施は避けた方が良いと思います。 でも、負荷が掛かっているときの情報が欲しい場合もあるでしょうから、計測する意図を考えて行うことが肝要かと思います。
さくらのVPSでのUnixBenchの実施結果
今回は、CentOS 5.7 でさくらのVPS 512プランでUnixBench 5.1.3 を実施した結果を載せておきます。
|
[ UnixBench出力情報の意味 ]
出力項目名 | 意味 |
---|---|
Dhrystone 2 using register variables | 2つのレジスタを使用した整数・文字列演算 |
Double-Precision Whetstone | 倍精度浮動小数点演算 |
Execl Throughput | exec関数実行処理 |
File Copy 1024 bufsize 2000 maxblocks | ファイルコピー(バッファサイズ1024バイト) |
File Copy 256 bufsize 500 maxblocks | ファイルコピー(バッファサイズ256バイト) |
File Copy 4096 bufsize 8000 maxblocks | ファイルコピー(バッファサイズ4096バイト) |
Pipe Throughput | pipe処理 |
Pipe-based Context Switching | pipeベースでのコンテキストスイッチング |
Process Creation | プロセス生成 |
Shell Scripts (1 concurrent) | シェルスクリプト実行(シングル) |
Shell Scripts (8 concurrent) | シェルスクリプト実行(8個並列) |
System Call Overhead | システムコール |
System Benchmarks Index Score | ベンチマーク値(UnixBenchの値として代表的に用いられる値) |
System Benchmarks Index Score 1368.2
が、用いられることが多いです。
さくらのVPS UnixBench でGoogleさんに聞けば、いろんなサイトで実施結果が表示されています。
概ね、さくらのVPS 512 プランなら、
System Benchmarks Index Score : 1400 前後のようです。
上の結果も、まあそこそこというところです。色々とサーバーとして使用しながらの計測なので、こんなものだと思います。
無負荷時の概ね平均は、1CPU : 1,000 前後, 2CPU : 1,600 前後のようです。
悪い時で、1CPU : 800 前後, 2CPU : 1,200 前後のようです。
良い時で、1CPU : 1,200 前後, 2CPU : 2,000 前後のようです。
かなり値が振れてますね。ただ、1日計ってみるとわかりますが、上記の良い時、悪い時は一時的な振れ幅であって、その振れ幅が長く続くことはほとんどないようです。
ここでは、同じ仮想化技術(KVM)のクラウドコアとの比較のみあげておきます。
( UnixBenchを使ってVPSを比較するとき仮想化技術が同じもので比較することが肝要です。仮想化技術によって、値はかなり振れてしまいますし、その値が持つ意味あいも違ってくるので注意が必要です。 )
System Benchmarks Index Score
さくらのVPS 512 |
Cloud Core VPS | |
---|---|---|
CPUコア数 | 2 | 1 |
メモリ | 512MB | 2GB |
Index Score | 1200 – 1500 | 800 – 1000 |
やっぱり、マシンパワーとしては、さくらのVPSの方が上のようですが、両者とも格安なのにかなり良いパフォーマンスだと思います。
他のOpenVZ系のVPSでは、案外、UnixBenchの値が振るわないものが多いようです。
元来OpenVZ系は効率が良いので、KVMやXen系のVPSと比べてUnixBenchは良い値が出てもおかしくないのですが、かなり詰め込んでいるんでしょうね。
実際に、カゴヤ VPS、お名前.com VPS は、「これぞ リソース共有!」という感じでかなりの値 ( 2000,3000は当たり前のように出ます) が出ます。(実際の使用感は、かなり目減りするので注意が必要) しかし、Serverman@VPSやOsukini Serverの数値は、厳しいものがありますね。
また、Amazon EC2 を VPSとして比較してはいけないのですが、UnixBenchからするとかなり厳しいです。
このUnixBenchだけで比較するのは良いことだとは思いませんが、 上記の両者は、かなり良い方なのは間違いなさそうです。
興味のある方は、以下からのどうぞ。いずれもお試し期間があります。
さくらのVPSは、こちらのさくらのVPSサイト からどうぞ。
KDDI クラウドコア(CloudCore)は、こちらのKDDI クラウドコア(CloudCore) サイト からどうぞ。
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2012年5月5日, 11:31 PM
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