さくらのVPS の SSD 1Gプランが出たので、UnixBench と iops を計測してみました。ついでに、お名前.com VPS(KVM) 1Gプランとも比較してみました。
以前に、
- 遅ればせながら、さくらのVPS (旧プラン512) のUnixBench を実施して計測してみました
- さくらのVPSの新プランのUnixBench を実施して計測してみました。ついでに、旧プランとお名前.com VPS(KVM)の値も比較してみました。
- さくらのVPSの1Gプランとお名前.com VPS(KVM) 1GプランのUnixBench を実施して計測し、比較してみました。
でもUnixBenchを実施しました。
今回は、さくらのVPS で SSD プランが新規にリリースされたので、早速、どのくらいのパフォーマンスかチェックしてみました。
お決まりの UnixBench を
通常の 1GプランとSSD 1G プランの対比に加えて、お名前.com VPS(KVM)の1Gプランでも比較してみました。
加えて、今回は、ドライブの高速化が見込まれますから iopsも計測してみました。iopsは、ioping コマンドを使ってみました。
OS : CentOS 6.3 (デフォルトOS)
UnixBench : 5.1.3
さくらのVPS :1G プラン (北海道(石狩データセンター))
さくらのVPS :SSD 1G プラン (北海道(石狩データセンター))
お名前.com VPS(KVM) :1G プラン
- 目次
- 履歴
2012年12月14日 初版
UnixBenchの前準備
UnixBenchの前準備として、UnixBenchのmake作業が必要です。詳しくは、以下を参照してください。
- UnixBenchの最新ファイルをダウンロードする。
$ wget http://byte-unixbench.googlecode.com/files/UnixBench5.1.3.tgz ...
現在の最新バージョンが、5.1.3だったので、そのバージョンをダウンロードしてみました。
最新バージョンは、 http://code.google.com/p/byte-unixbench/downloads/listで確認しましょう。適当なディレクトリで解凍しておきます。
$ tar xfz UnixBench5.1.3.tgz ...
- GUI系の計測は不要なのでMakeFileを編集する。
計測が不要なものは、コメントアウトしておきます。
ここではGUI関係は不要なので、GRAPHIC_TESTS , GL_LIBS をそれぞれコメントアウトしておきます。
./UnixBench/Makefile を編集します。
... SHELL = /bin/sh # GRAPHICS TESTS: Uncomment the definition of "GRAPHIC_TESTS" to enable # the building of the graphics benchmarks. This will require the # X11 libraries on your system. # # Comment the line out to disable these tests. # 以下の行をコメントアウトします。 # GRAPHIC_TESTS = defined # Set "GL_LIBS" to the libraries needed to link a GL program. # 以下の行をコメントアウトします。 # GL_LIBS = -lGL -lXext -lX11 ...
- UnixBenchをコンパイルする。
UnixBenchをコンパイルするには、makeおよびgcc、perlが必要になります。
加えて CentOS/ScientificLinux の場合、perl のTime/HiResもインストールする必要があります。
前準備として以下のツールをインストールします。CentOS/ScientificLinux の場合
$ yum -y install make gcc perl perl-Time-HiRes ...
Debian/Ubuntu の場合
$ apt-get -y install make gcc perl ...
準備を終えたら、続けてmakeを実行します。
実行するディレクトリは、先にUnixBenchを解凍したディレクトリで実行します。[UnixBench]$ make ...
ここでエラーがでない場合は、すぐにでも計測できます。
以下のようにRunで実行です。
[UnixBench]$ ./Run make all make[1]: Entering directory `/root/UnixBench' Checking distribution of files ./pgms exists ./src exists ./testdir exists ./tmp exists ./results exists make[1]: Leaving directory `/root/UnixBench' # # # # # # # ##### ###### # # #### # # # # ## # # # # # # # ## # # # # # # # # # # # ## ##### ##### # # # # ###### # # # # # # ## # # # # # # # # # # # # ## # # # # # # # ## # # # # #### # # # # # ##### ###### # # #### # # Version 5.1.3 Based on the Byte Magazine Unix Benchmark ... # ↑このように UNIX BENCH の文字絵が出力されればOKです。Ctrl+C で中断できます。
Runは、概ね 1CPUあたり20分ぐらいでしょうか。単純に仮想CPU2あるので、倍の40分程度は掛かるものと思います。 また、負荷もかかるので、基本的には、実際に運用中のサーバーでの実施は避けた方が良いと思います。 でも、負荷が掛かっているときの情報が欲しい場合もあるでしょうから、計測する意図を考えて行うことが肝要かと思います。
UnixBenchの実施結果
さくらのVPS SSD 1GプランでのUnixBenchの実施結果
データセンターは、北海道(石狩)です。
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さくらのVPS 1GプランでのUnixBenchの実施結果
データセンターは、北海道(石狩)です。
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お名前.com VPS(KVM) 1GプランでのUnixBenchの実施結果
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各出力結果の意味
[ UnixBench出力情報の意味 ]
出力項目名 | 意味 |
---|---|
Dhrystone 2 using register variables | 2つのレジスタを使用した整数・文字列演算 |
Double-Precision Whetstone | 倍精度浮動小数点演算 |
Execl Throughput | exec関数実行処理 |
File Copy 1024 bufsize 2000 maxblocks | ファイルコピー(バッファサイズ1024バイト) |
File Copy 256 bufsize 500 maxblocks | ファイルコピー(バッファサイズ256バイト) |
File Copy 4096 bufsize 8000 maxblocks | ファイルコピー(バッファサイズ4096バイト) |
Pipe Throughput | pipe処理 |
Pipe-based Context Switching | pipeベースでのコンテキストスイッチング |
Process Creation | プロセス生成 |
Shell Scripts (1 concurrent) | シェルスクリプト実行(シングル) |
Shell Scripts (8 concurrent) | シェルスクリプト実行(8個並列) |
System Call Overhead | システムコール |
System Benchmarks Index Score | ベンチマーク値(UnixBenchの値として代表的に用いられる値) |
実施結果から思うこと
もう少し、変化があるのかなぁと思いましたが、それほどの差がないのが、逆に驚きでした。
UnixBnechの特性上、全体的(平均的)な指標となるのもわからなくもないですが、
File Copy 関連の指標も、それほどSSDプランがとびぬけていないのが逆に気になりました。
これって間違いじゃないのかぁって思いましたが、さくらのVPS側を再確認しましたが、プラン名もディスクもやっぱりSSD プランのもので間違いないようです。
これで、いよいよSSDの性能を確認するのが怖くなってきましたが、先にも書いたように ioping を使って計測してみます。
ioping のインストール
iopsの計測に関しては、
さくらのVPS の SSD 1Gプランが出たので、iops を計測してみました。ついでに、お名前.com VPS(KVM) 1Gプランとも比較してみました。(2)
にて改めて書きましたので、そちらを参考にされてください。iopingは、デフォルトではインストールされていませんから、まずは、インストールします。
CentOS,ScientificLinux
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Debian,Ubuntu
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ioping の実施結果
さくらのVPS SSD 1Gプランでのiopingの実施結果
データセンターは、北海道(石狩)です。
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さくらのVPS 1Gプランでのiopingの実施結果
データセンターは、北海道(石狩)です。
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お名前.com VPS(KVM) 1Gプランでのiopingの実施結果
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実施結果から思うこと
上記は、すべて実測値なので、実測している最中にアクセスがあれば、パフォーマンスは落ちます。
そのため、1回だけやってもあまり意味がないことが多いです。何回かやってみて、その中央値なり、平均値なりを算出することで、ある程度、比較できるようになると思います。
上記の結果からすると、お名前.com VPS(KVM)が良さそうに見えますが、あくまで無負荷状態でのパフォーマンスです。
これが、実際の運用をしている状態だと、以下のようにグッとパフォーマンスが落ちる時もあります。(以下はかなり稀に起こります)
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上記2つの結果は、負荷がどれだけかかっているかによって違うだけです。同じサーバーを利用していますので、ハードスペックが異なっているわけではありません。
確かに通常ドライブの場合、一時的にパフォーマンスが落ちるときがあるようですが、なんだか、もっとハッキリと差が出るのかと思いましたが、そうではないようです。
これら結果からすると、やっぱり、長く運用してはじめわかるのかもしれませんね。
iopsの計測に関しては、
さくらのVPS の SSD 1Gプランが出たので、iops を計測してみました。ついでに、お名前.com VPS(KVM) 1Gプランとも比較してみました。(2)
にて改めて書きましたので、そちらを参考にされてください。以下は、各VPSのcpuinfoをダンプした結果です。(参考まで)
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お名前.com VPS(KVM) は、Core 2 Duo を使っているわけもありません。Xeonを使っています。
また、さくらのVPSでは、北海道(石狩) SSD と 通常ドライブ では、(ほとんど差がないと思いますが)CPUが変わったようです。
色々と試した結果からすると、やっぱりSSDはスゴイという結果が出なかったのが、逆に驚きでした。
確かに差は多少ありますが、際立っていないんですよね。 実運用でメモリを目一杯使用している状態では変化が出始めるのかなぁという感じもしますが、このあたりになると長く使ってみないとなんとも言えませんね。
iopsの計測に関しては、
さくらのVPS の SSD 1Gプランが出たので、iops を計測してみました。ついでに、お名前.com VPS(KVM) 1Gプランとも比較してみました。(2)
にて改めて書きましたので、そちらを参考にされてください。まだ、これからもう少し、いろいろと試してみようよ思います。今回は、ここまでです。何かの参考になればうれしく思います。
興味のある方は、以下からのどうぞ。いずれもお試し期間があります。
さくらのVPSは、http://vps.sakura.ad.jp/ からどうぞ。
お名前.com VPSは、http://www.onamae-server.com/vps/ からどうぞ。
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2012年12月16日, 11:48 AM
2Gはどうでしょう?
1Gは制限があると聞きました。
2012年12月16日, 4:32 PM
名無しさん
コメントありがとうございます。また情報もありがとうございます。
> 1Gは制限があると聞きました。
制限があるんですか。どんな制限?なんでしょうね。ちょっと気になります。それで、これだけ差がないのかもしれませんね。
一応、ちょっと結果に不満だったので、現在、サポートに確認中です。また、サポートからの連絡が来たら、レポートしてみます。
また、2Gは使ってみていないです。たぶん、1Gで制限があるんなら同じように制限がかかっているんでしょね。たぶんですけど。
[追記]
制約はないそうです。以下サポートからの回答です。
> 2週間の無料お試し期間中は外向きの25番ポートを閉じ、アップ
> ロードのデータ転送帯域を「2Mbps」に制限しておりますが、その他の
> 制限は特に実施しておりません。
また、iopsの計測に関しては、iopingでなくfioで確認しているそうです。(確かにfioでの出力結果をみるとパフォーマンスがすごいことになってます。加えて、fioでは、いろいろパラメータを指定できるので、そのドライブのパフォーマンスを体感できます。かなりスゴイです。)
次記事でそのあたりをまとめてみます。
2012年12月23日, 12:54 AM
[…] […]