遅ればせながら、さくらのVPS (旧プラン512) のUnixBench を実施して計測してみました では、さくらのVPSのUnixBechを実行してみました。
今回は、話題のKDDI CloudCore VPS で同じようにUnixBechを実行してみました。
( UnixBechの実行環境については、遅ればせながら、さくらのVPS (旧プラン512) のUnixBench を実施して計測してみました を参照してください。 )
Linuxパソコンの処理性能を測定するためのソフトウエアのことで、 CPUの演算性能、アプリケーション実行時の処理性能、2次元や3次元のグラフィックス処理性能を測定できるものです。 さらに、マルチコアプロセッサにも対応しているため、コア数の違いによるパフォーマンスを評価することもできます。
UnixBench が出力する数値は、処理時間とIndex値です。
処理時間は、文字通り各処理性能を測定する項目毎に実際にかかった処理時間が出力されます。
Index値は、「George」と呼ばれるUNIXシステム「SPARCstation 20-61」の処理性能を10としたときの倍率を表した数値が出力されます。 ( つまり、ざっくりと言うと SPARCstation 20-61 の何倍早いか?という感じでしょうか。)
現在のマシン性能は、かなり良くなっているので、100倍,1000倍という数値が普通に出ます。
主にUnixBench の値として用いられるのは、このIndex値の総合評価値である System Benchmarks Index Scoreの値が用いられています。
- 目次
- 履歴
2012年3月3日 初版
UnixBenchの前準備
UnixBenchの前準備として、UnixBenchのmake作業が必要です。詳しくは、以下を参照してください。
- UnixBenchの最新ファイルをダウンロードする。
$ wget http://byte-unixbench.googlecode.com/files/UnixBench5.1.3.tgz ...
現在の最新バージョンが、5.1.3だったので、そのバージョンをダウンロードしてみました。
最新バージョンは、 http://code.google.com/p/byte-unixbench/downloads/listで確認しましょう。適当なディレクトリで解凍しておきます。
$ tar xfz UnixBench5.1.3.tgz ...
- GUI系の計測は不要なのでMakeFileを編集する。
計測が不要なものは、コメントアウトしておきます。
ここではGUI関係は不要なので、GRAPHIC_TESTS , GL_LIBS をそれぞれコメントアウトしておきます。
./UnixBench/Makefile を編集します。
... SHELL = /bin/sh # GRAPHICS TESTS: Uncomment the definition of "GRAPHIC_TESTS" to enable # the building of the graphics benchmarks. This will require the # X11 libraries on your system. # # Comment the line out to disable these tests. # 以下の行をコメントアウトします。 # GRAPHIC_TESTS = defined # Set "GL_LIBS" to the libraries needed to link a GL program. # 以下の行をコメントアウトします。 # GL_LIBS = -lGL -lXext -lX11 ...
- UnixBenchをコンパイルする。
UnixBenchをコンパイルするには、makeおよびgcc、perlが必要になります。
加えて CentOS/ScientificLinux の場合、perl のTime/HiResもインストールする必要があります。
前準備として以下のツールをインストールします。CentOS/ScientificLinux の場合
$ yum -y install make gcc perl perl-Time-HiRes ...
Debian/Ubuntu の場合
$ apt-get -y install make gcc perl ...
準備を終えたら、続けてmakeを実行します。
実行するディレクトリは、先にUnixBenchを解凍したディレクトリで実行します。[UnixBench]$ make ...
ここでエラーがでない場合は、すぐにでも計測できます。
以下のようにRunで実行です。
[UnixBench]$ ./Run make all make[1]: Entering directory `/root/UnixBench' Checking distribution of files ./pgms exists ./src exists ./testdir exists ./tmp exists ./results exists make[1]: Leaving directory `/root/UnixBench' # # # # # # # ##### ###### # # #### # # # # ## # # # # # # # ## # # # # # # # # # # # ## ##### ##### # # # # ###### # # # # # # ## # # # # # # # # # # # # ## # # # # # # # ## # # # # #### # # # # # ##### ###### # # #### # # Version 5.1.3 Based on the Byte Magazine Unix Benchmark ... # ↑このように UNIX BENCH の文字絵が出力されればOKです。Ctrl+C で中断できます。
Runは、概ね 1CPUあたり20分ぐらいでしょうか。単純に仮想CPU2あるので、倍の40分程度は掛かるものと思います。 また、負荷もかかるので、基本的には、実際に運用中のサーバーでの実施は避けた方が良いと思います。 でも、負荷が掛かっているときの情報が欲しい場合もあるでしょうから、計測する意図を考えて行うことが肝要かと思います。
CloudCore VPSでのUnixBenchの実施結果
今回は、CentOS 5.7 で CloudCore VPS でUnixBench 5.1.3 を実施した結果を載せておきます。
|
[ UnixBench出力情報の意味 ]
出力項目名 | 意味 |
---|---|
Dhrystone 2 using register variables | 2つのレジスタを使用した整数・文字列演算 |
Double-Precision Whetstone | 倍精度浮動小数点演算 |
Execl Throughput | exec関数実行処理 |
File Copy 1024 bufsize 2000 maxblocks | ファイルコピー(バッファサイズ1024バイト) |
File Copy 256 bufsize 500 maxblocks | ファイルコピー(バッファサイズ256バイト) |
File Copy 4096 bufsize 8000 maxblocks | ファイルコピー(バッファサイズ4096バイト) |
Pipe Throughput | pipe処理 |
Pipe-based Context Switching | pipeベースでのコンテキストスイッチング |
Process Creation | プロセス生成 |
Shell Scripts (1 concurrent) | シェルスクリプト実行(シングル) |
Shell Scripts (8 concurrent) | シェルスクリプト実行(8個並列) |
System Call Overhead | システムコール |
System Benchmarks Index Score | ベンチマーク値(UnixBenchの値として代表的に用いられる値) |
[ CloudCore VPSとさくらのVPSのUnixBench 比較 ]
SPPD VPS | CloudCore VPS | ABLE NET VPS | さくらのVPS | |||
---|---|---|---|---|---|---|
1 Core | 1 Core | 1 Core | 2 Core | 1 Core | 2 Core | |
Dhrystone 2 using register variables | 1,251.5 | 729.4 | 700.8 | 1,397.3 | 1,141.1 | 2,101.0 |
Double-Precision Whetstone | 539.9 | 340.4 | 316.4 | 632.3 | 514.5 | 1,006.0 |
Execl Throughput | 990.4 | 803.7 | 551.9 | 949.9 | 522.9 | 1,426.9 |
平均 | 927.3 | 624.5 | 523.0 | 993.2 | 726.2 | 1,511.3 |
File Copy 1024 bufsize 2000 maxblocks | 1,372.2 | 1,623.0 | 962.9 | 360.5 | 1,466.7 | 558.9 |
File Copy 256 bufsize 500 maxblocks | 942.6 | 1,262.5 | 726.7 | 260.3 | 1,137.5 | 404.4 |
File Copy 4096 bufsize 8000 maxblocks | 2,196.0 | 1,274.5 | 1,251.9 | 532.0 | 1,970.1 | 832.1 |
平均 | 1,503.6 | 1,386.7 | 980.5 | 384.3 | 1,524.8 | 598.5 |
Pipe Throughput | 811.1 | 1,420.0 | 692.9 | 1,379.4 | 1,420.7 | 2,650.0 |
Pipe-based Context Switching | 759.4 | 760.2 | 76.8 | 1,041.4 | 761.3 | 1,659.4 |
Process Creation | 1,230.2 | 579.1 | 472.7 | 825.3 | 568.1 | 1,351.9 |
平均 | 933.6 | 919.8 | 414.1 | 1,082.0 | 916.7 | 1,887.1 |
Shell Scripts (1 concurrent) | 1,595.4 | 930.7 | 789.5 | 1,489.1 | 976.2 | 1,775.4 |
Shell Scripts (8 concurrent) | 1,584.4 | 912.7 | 1,343.9 | 1,424.4 | 1,754.6 | 2,106.2 |
System Call Overhead | 637.6 | 1,751.2 | 685.1 | 965.0 | 2,135.5 | 3,412.0 |
平均 | 1,272.5 | 1,198.2 | 939.5 | 1,292.8 | 1,622.1 | 2,431.2 |
System Benchmarks | 1,072.7 | 941.4 | 594.8 | 826.5 | 1,070.6 | 1,368.2 |
1コアのUnixBenchとしては、(System Benchmarks Index Score)
- さくらのVPS : 1070.6
- CloudCore VPS : 941.4
と、それなりに拮抗してます。CPUに関するIndex値の平均からすると、
- さくらのVPS : 726.2
- CloudCore VPS : 624.5
となっています。
実際には、同じ価格でもCPUのコア数は、さくらのVPSが2コア、CloudCore VPSが1コアですから
2コアのUnixBenchとしては、(System Benchmarks Index Score)
- さくらのVPS : 1,368.2
となります。更には、2コア時のCPUに関するIndex値の平均からすると、
- さくらのVPS : 1,511.3
となり、かなり差が出てしまいますね。
まあ、想像通り!?の数値だとは思います。
メモリー不足に陥れば、スワップの多発で、CPUパワーも意味がないでしょうし、いくらメモリが多くてもそれを生かせるだけのCPUパワーが無ければ、それも意味がないでしょう。
結局は、CPUパワーとメモリ、ディスク容量とのバランスなんだと思います。
はじめてVPSでサーバーを構築する方は、ある程度メモリがある方が無難でしょう。そういう意味では、CloudCore VPSはおすすめかもしれません。
ただ、加えてCPUパワーも必要な方には、どうしてもさくらのVPSの上位プランになってきますね。
特に 2 CPU でのディスクアクセスのパフォーマンスがここまで落ちているのは、サーバーとして利用しているためのディスクキャッシュ、メモリ不足によるものだろうと思います。
興味のある方は、以下からのどうぞ。いずれもお試し期間があります。
KDDI クラウドコア(CloudCore)は、こちらのKDDI クラウドコア(CloudCore) サイト からどうぞ。
さくらのVPSは、こちらのさくらのVPSサイト からどうぞ。
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